2019年4月13日土曜日

序文

人皆もすなるweblogといふものをわれもしてみむとてするなり御国譲りの年の卯月のよき日より心にうつりゆくよしなしごといささかものに書きつく

皆がするというブログというものを、私もしてみようと思ってやってみる。譲位の行われる年の四月の良い日より、心に思いつくとりとめのない事を、ほんの少し書いてみる。

源氏物語より胡蝶の貝合わせ

 この絵は蛤の殻に、日本画の絵具で描いた。製作は2007年。
この頃はまだ時々このような大きな貝があった。この蛤は上野松坂屋の食品売り場で、波崎の朝鮮蛤として売っていた。貝の幅は111mmある。あとにも先にも私はこれ以上の物を見た事がない。
 絵は、源氏物語より第24帖胡蝶から題材を得た。正直に言えば、この時分の作品はまだ下手だ。じゃあ、今は巧いのかといえば、そうでもない。いま描いているのは精一杯上手に描いたつもりだが、次はもっと巧く描けるような気がすると、新しい作品にとりかかるたびに思う。
 絵の話に戻ろう。この絵は、二日間の出来事を一枚にまとめている。源氏は、六条院の紫の上が住む春の町で船楽を催した。公卿や親王、隣の町の秋好中宮方の女房たちを招き、夜通し管弦や舞が行わた。翌日、隣の町で中宮による季の御読経が催された。船楽に訪れた公卿たちは引き続いて参列した。紫の上は、舞楽の胡蝶を舞う童たちに供養の花を贈り、中宮と和歌を贈答した。
花ぞののこてふをさへや下草に秋まつむしはうとく見るらむ
それに答えて
こてふにもさそはれなまし心にありて八重山吹をへだてざれせば
 簡単に言ってしまうと、以前の出来事の意趣返しの催しを二日かけて優雅に行ったという事だ。しかし、本文の美しさにこの絵は答えていない。相手が大きすぎた。でも、気持ちが調ったら改めて取り掛かりたい画題だ。