竹刀とは金箔を截る道具だ。名前の通り竹(篠竹)で出来ている。
かつては市販の竹刀を購入していた(写真:一番下)が、竹刀は自分で刃を付けなければ使えない。技術が足りない場合、そこをカバーしてくれるのは良い道具だと思っているが、上手に刃を付ける技術が無いとお手上げだ。刃の付け方がまずくて、一度もまともに金箔を截れずに一本つぶした事もある。最近になってやっとそれなりに刃を付けられるようになった。しかし、実はもっと良く切れるものなんじゃないかと思うようになった。素材の竹はこれでよいのか。
昔々、加山先生は、竹刀はよく枯らした房州の女竹(篠竹)が一番だとおっしゃっていたのを思い出す。さっそく房州の女竹を手に入れた。篠笛用の竹だ。購入時にすでに5年程枯らしてあるとの事だったが、それからさらに5年以上はほっといてあるので十分枯れていると思う。
雑誌、日本の美術No.373截金と彩色(1997発行)の江里佐代子さんの特別寄稿を参考に作ってみた。写真上から四つ割にしたもの、次に実際にいま使っているもの、三つ目の短いのは持ち運び用に作った物だ。切れ味は市販の物とあまり変わりはないかも知れない。やはり刃の付け方に大きく左右される。ただ大きく違うのは、両手で持ちやすくなっていることと、見ていただければ分かると思うが形がきれいな事だ。道具はきれいな形をしてなくちゃいけないと思っている。いまでは市販の物を使う事はほぼ無くなった。